SPD技術に関する研究開発を行っています。
SPD技術の社会実装と実展開にむけた諸活動を行っています。
SPD技術を担う人材の育成ならびにSPD人材の相互交流に関する諸活動を行っています。
SPD技術の利活用を求める企業・自治体等へのコンサルティングを行っています。
2023年3月1日
代表理事 寺野隆雄
このたび,一般社団法人 ソサエタルデザイン研究所(Societal Design Institute)の代表理事を務めさせていただくことになり,一言ご挨拶をさせていただきます.
私自身,社会シミュレーションの技術と理論,そして適用分野の研究開発に携わって30年近くになります.その間,様々な方々,書籍から影響を受けてきました.その中で最も濃くに残っているのが以下の文言です.『いまはコンピュータのおかげで,政治問題はサイバースペースで実験してから実行に移すのよ.レーニンはかわいそう.早く生まれすぎたのよ…』これは,SF作家のアーサー・C・クラークが彼の名作「2001年宇宙の旅」の続編である「3001年終局への旅」で,登場人物に言わせたセリフです.
「サイバースペースでの実験」という概念は,最近,さまざまな文脈で語られるようになってきました.実際,情報通信技術の進歩のおかげで,この種の実験はもはや絵空事ではなくなっています.工学分野のデジタルエンジニアリング,また,コロナ感染の予測などは,最近の事例です.
ただ,少し待ってください.政治を含む我々の社会経済問題は単なる予測で判断していいのでしょうか?我々は,新しい社会を自らの手でデザインし実現していかなくてはなりません.そこには,単なる予測以上のものが必要です.膨大な数の起こりうるシナリオを評価し,矛盾する状況の中で,意思決定を行わなければなりません.ここには,トップダウンのみの従来型の思考法では限界があります.本研究所の名称に「社会デザイン」という言葉を当て,SocialではなくSocietalという英語を用いたのにはこのような理由があります.Socialは人間の社会や人々の関係および相互作用に関連することを指し,社会的文脈で使われます.それに対し,Societalは,特定の社会全体に関連するものや特定の社会の特徴を示すものを指します.
「3001年」で語られたセリフは上から目線のように感じませんか?そこで,我々はさまざまな矛盾を含む複雑な社会経済問題を「自分ごと」として理解し,実践できる手助けをする組織を立ち上げることにしました.我々の目標は,この複雑かつ矛盾の多い現代社会に対して,市民としての政策意思決定者が,さまざまな政治経済問題を自分ごととして取り扱えるようなツールと方法論の提供,ならびに,それを実現し実践できる社会シミュレーション技術者・科学者(Social Simulation Scientist)の育成にあります.
現在,我々が提供可能なのは,日本全国の家計情報を仮想的に扱える仮想個票(合成人口データ),ならびに,コロナ感染予測をはじめとする大規模エージェントシミュレーションをカバーできるツールキットとそのための大規模最適化技術にすぎません.しかしながら,これらを核として,多様な意思決定当事者が利用できる社会コミュニケーションの方法論や,普及のための方策も順次整えていく予定にしております.
今ではごく普通に用いられる「サイバースペース」という用語を初めて用いたSF作家ウィリアム・ギブソンは,講演会でこんな発言をしたと伝えられております.『未来はすでにここにある.まだあまねく流通していないだけなのだ.』
私も彼の発言の妥当性を信じております.社会デザインの概念をあまねく流通させていきましょう.我々のこのようなアプローチに賛同いただける方々の本研究所への参画をお願いする所存でございます.
ご参考資料: 計測自動制御学会 第31回社会システム部会研究会(2023年3月5日開催) での招待講演「デジタル社会実験にむけてーデータ・モデル・コミュニケーションー」スライド [ PDF ]
SDIは、2024年3月11日〜13日に開催予定の「計測自動制御学会 システム・情報部門 第34回社会システム部会研究会」を共催いたしました。
3月11日(月)15:20-16:50の時間帯でSDI企画セッション、3月12日(火)13:30-14:30の時間帯には招待講演を企画し、SDI会員は無料でご聴講いただけました。
プログラムの詳細は こちら を御覧ください。
なお、本企画は、SICE第34回システム部会研究会の一部としての開催となります。一般セッションの聴講には参加登録が必要となります。
参考:計測自動制御学会 システム・情報部門 第34回社会システム部会研究会
2023年11月10日にSDIのメンバーが中心となって、JST未来社会創造事業 超スマート社会の実現領域 本格研究 キックオフシンポジウム「人間中心の社会共創デザインを可能とするデジタル社会実験基盤技術の開発」 を企画・実施しました。 代表理事の寺野が司会を務め、JST未来社会創造事業 超スマート社会の実現領域 運営統括 前田章様より冒頭ご挨拶をいただき、マルチエージェント社会シミュレーションの第一人者である北海道大学教授 野田五十樹先生を招待講演にお迎えしました。 その後、理事の貝原・高橋・村田に加え、倉橋・後藤が現在取り組んでいるJST未来社会創造事業「デジタル社会実験」プロジェクトの取り組みを紹介する発表を行いました。
2023年5月19日にSDIのメンバーが中心となって、第67回システム制御情報学会 研究発表講演会 でデジタル社会実験に関するオーガナイズドセッションを企画・実施しました。 代表理事の寺野および理事の喜多が司会を務め、理事の貝原・高橋・村田に加え、倉橋・後藤が現在取り組んでいるJST未来社会創造事業「デジタル社会実験」プロジェクトの取り組みを紹介する発表を行いました。セッションの後半にはオープンディスカッションが行われ、活発な議論が行われました。
ものづくりの世界ではCADなどデジタル技術により、製品のアイデア検討からデザイン、モデリング、シミュレーションを行うことで、製品化にかかる時間を大幅に短縮することやデジタルデータを通じた開発者間のコミュニケーションが試みられています。
わたしたちは、ものづくりの世界での当たり前を、これまでに難しかった社会における政策立案でも可能にするために、デジタル社会実験技術「Soceital Prototyping Design」の開発に取り組んでいます。
SPDによるデジタル社会実験により、従来では難しかった様々な未来シナリオの事前検討やシミュレーションによるシナリオ最適化により現実の社会実験を効率化することが可能となり、社会的コストを大幅に低減するとともに望ましい未来社会シナリオの創造が可能になります。
デジタル社会実験を行えば、行政、住民、事業者がそれぞれ自分ごととして社会の問題と議論して、皆が受容できる未来像を共同で作成することが可能になります。
入会にあたっては、個人・団体ともに以下の手続きにてお手続きをお願いいたします。
入会金・会費、会員の特典に関する規程はこちらです [ PDF ]
ソサエタルデザイン研究所には、下記の代表理事、理事、監事の役員を置いています。
役職 | 氏名 |
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代表理事 | 寺野 隆雄 |
理事 | 貝原 俊也 |
理事 | 喜多 一 |
理事 | 高橋 真吾 |
監事 | 越山 修 |
監事 | 村田 忠彦 |